今年は、富士山など各地の山々で登山者の遭難事故がかなり増えている。警察庁によると、昨年の富士山での事故件数は80件を超えたそうだが、今年はそれを上回る勢いだ。富士山を含め国内の高山の多くは、古来より神聖なものとして崇拝されており、レジャーツーリズムがもたらす多すぎるハイカーや登山者が山頂を競う風潮は嘆かわしいと思う。
富士山についていえば、入山料は現在4,000円だが、負傷した登山者の救助に公的機関を利用する場合は基本的に無料となる。そのため、ヘリや救助隊をあたかも無料サービスのタクシーのように使う悪辣な輩も中にはいるとのことだ。そうした公的機関による救助費用は結局納税者が支払うことになる。
トラブルを起こす登山者は、十分な服装や装備が伴わないことが多い。Tシャツやサンダル姿で登る者もいる。そのため、救助隊は往々にして医療措置や入院の手配まで負わされる。
原則として、マナーのない登山者に手厚い救助を受ける資格などないだろう。救助隊の現場での混乱と予想される2次災害を避けるために、関連する監督機関や自治体は、登山口で登山者の高山に対応した服装や装備をチェックすべきだ。さらに、富士山などの人気の高い山々では登山者に山岳保険への加入義務が必要だろう。これは特異なことではない。現にスイスでは山岳遭難の救助はすべて有料である。
節度のない人々の乱雑な集中は、国内の高山だけでなく、文化的、歴史的施設にもみられる。こうしたオーバーツーリズムは、世界中に節操なく広がっている。それはグローバリズムなどというものではなく、ただ単に身勝手ということに尽きる。もし、なにかしら神聖なものが人間社会に元々存在しているとしたら、こうした風潮が長く続くことは決して許さないのではないだろうか。
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