コロナウイルスのパンデミックが終息して以来、オーバーツーリズムが世界中の観光地で大きな問題となっている。イタリアのベニスでは市当局が日帰り観光客への課税を決定し、スペインのバルセロナでは観光客の低減を求めて市民のデモが起きた。ここ日本でも、京都の住民は、市民の憩いの場にも立ち現れる外国人にもうウンザリしている。

いずれの場合も、外からやってくる人達が多すぎて、地元民の日常生活が損なわれている。交通や通勤時の混乱や巷に溢れるゴミの山などがそうだ。

観光客のマナーの問題も大きい。立入り禁止区域に平気で入り込んだり、宿泊施設の備品を無断で持ち去る輩もいるからだ。

観光は、本来は、旅人の心に大きな感動と新たなインスピレーションを与えてくれるものだが、上述のような悪しきふるまいではそうした価値は吹き飛んでしまう。「郷に入らば郷に従え」の格言を肝に命じるべきだ。

いずれにせよ、世界中の旅行者の数は、世界規模の恐慌や戦争でも起きないかぎり今後も減ることはないだろう。こうした傾向を止める手段はないものだろうか。

ひとつ代わりになるものがある。現在のITの発展のおかげで仮想現実空間ではどんな観光地も鮮やかに見ることが可能だ。3Dデバイスやスマートグラスは、一瞬にして世界のあらゆる場所へいざなってくれる。お望みなら月へもだ。

げんなりする長時間のフライト疲れと混雑した移動から解放され、自分仕様の旅行プランをたて、心地よい背もたれ椅子などに身体を埋めながら自分だけの旅を楽しむのも一興だろう。

旅の目的は心を豊かにすることである。であるならば、物理的体験だけが唯一の手段ではないはずだ。これまでの既成概念を変え、百聞は一見に如かずを柔軟に選択してみてはどうだろうか。*** 

テクニカル・コンサルテーション・サービス 代表
東  敬
 「オーバーツーリズムにおける‘旅行’の考察
TCS News 2024年9月

         
    

                                                                       
                                        
                                                                  


    





















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