2026年は国際的に軍事・政治の仕組みが根本的に変わる節目の年になるかもしれない。ウクライナとロシアの戦争は今や混沌状態に陥り、米国の関与、正確に言えばトランプ大統領の目論見がその成り行きに深く影を落としている。トランプ大統領は、米国民に向けてウクライナとロシアとの交渉の仲介能力を誇示したいがため、戦争の早期終結を望んでいるようだ。だが、ロシアは同大統領の意図を正確に読み取り、逆にウクライナに対し猛烈な攻撃をしかけている。さらにロシアは、中国やイラン他の支持のもと情報戦にも力を入れている。
いったいウクライナとロシアでどのくらいの戦費が投入され、どのように使用されているのだろうか。2025年初頭のニュース記事による推定によれば、西側諸国がウクライナに提供した援助総額は約900億ドル/年である(うち、日本は60億ドル/年で国内のインフレ要因となっている)。一方、ロシアの戦時関連費用は推定700億ドル/年である。素朴な疑問だが、ウクライナはその戦費がロシアのそれより上回っているのになぜ軍事的優位に立てないのだろう。ウクライナの軍事力と兵站がロシアより劣っているためか?それともロシアは隠れた軍事援助を中国、イラン、その他から獲得しているからだろうか?仮に前者が当てはまるのなら、ウクライナはロシアの核弾頭の影響力低下に向けた策略を含め軍事戦略を根本的に見直さねばならない。また後者が実体を反映しているなら、不法な支援は即刻止めさせなければならない。どちらにせよ、西側同盟国は、政治的にも軍事的にも一致団結せねばならない。しかし、現実は異なる様相を呈している。
2022年2月の戦争勃発から少なくとも2年間は、ドイツはロシアの軍事行動の鎮圧に積極的でなく、どちらかというと漸次的もしくは日和見的な態度をとっていた。さらに、西側同盟国は、懲罰条項を含むロシアに対する物質的、軍事的援助の停止を求める強制的な法案の国連での提出をためらった。もう一つは、ウクライナ国内の政府高官による一連の汚職である。例として、政権幹部による約1億ドルの不正流用が指摘されている。
両陣営を見比べると、その指揮系統に対照的な違いが浮かび上がる。ウクライナは、自国内に組織的問題を包含しているため一丸的な戦争継続体制の整備が難しく、また外部からの統一的、絶対的な支援体制が伴わないのに対し、ロシアは、プーチン大統領に政治的・軍事的権力が決然として一元化されており、いかなるときでも迅速かつ上意下達の命令が下せ、他の独裁諸国から一貫した物質援助も得ている。いわば、ロシアは、開戦当初から総力戦で臨んでいるのに対し、ウクライナはそうではない。西側諸国の指導者たちは、プーチン大統領が戦争初期からその遂行に厳格にコミットしていることに気づくべきだったのだが、残念なことに彼らは相対の話し合いにこだわり事態が解決できるものと安易に考えていた。
ともかく、ウクライナとその同盟国が、必死の覚悟を持った絶対的な指導力に欠けている状況に変わりはない。そうしたなか、トランプ大統領がスポットライトを浴びるべく仲介役を担うことに強い意志を見せているというわけだが、彼の究極の目的は自身が思い描くビジネスを行うことにある。世界の未来は、独善的なビジネスを目論む一人の企業家に託されるのだろうか?これまで培ってきた平和と民主主義への努力を棚に上げて、きわめて重要な意志決定をギャンブラーの手に委ねることで、皆が納得しているということだろうか。
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