昨年12月、アゼルバイジャン航空の旅客機がカザフスタンで墜落し、38名の乗客が命を落とした。これについて、ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、ロシアのミサイルが墜落の原因であることをしぶしぶ認めた。

きわめて奇妙なことだが、ロシアや近隣諸国のニュースメディアは全世界をカバーする衛星モニタリングシステムがあるにもかかわらず、墜落機に何が起きたかを詳らかにしなかった。また、事故後の状況を伝える報道も遅く、プーチンの謝罪とイルハム・アリエフアゼルバイジャン大統領の不満を示すにとどまった。真実を求める動きを阻んだものは一体何なのか?

他方、ガザ−イスラエル間の紛争が大半のメディアで連日報道されていることは、周知の事実だ。ジャーナリストにとっては旅客機墜落はあくまで不幸な事故であり、中東の死者や避難民の方がより報道に値するということなのだろうか。

件の飛行機の墜落原因となった兵器は、ロシア軍のミサイルであり、彼らはウクライナとの長びく戦争の最中にあり、これまでに数十万人の兵士や民間人が亡くなっている。

仮にメディア関係者が、レポーターのカメラに向けた避難民や受難者の叫びや抗議が、墜落機現場の犠牲者や怪我人の沈黙よりもずっと重大だと考えているなら、彼らが下す選択は、映像の映り具合を強調したり、大衆受けを狙った印象操作になるかもしれない。

似たようなメディアの偏向は、つい最近の米国の大統領選挙でもあらわになった。米国の3大テレビネットワーク、主要新聞(FOXニュースや少数メディアは除く)は、ドナルド・トランプがカマラ・ハリスに敗北すると予想した。ところが実際には、南部州の支持票によりトランプの地滑り的勝利に終わった。

不思議なのは、メディア側に事前予想のミス判断について、具体的な検証や反省がなされていないことだ。これは新聞、雑誌、放送局などは商業的な利益集団だからだろう。仮に、そのオーナーや大多数の従業員が民主党員なら、共和党寄りの記事はおそらく書かないだろう。

同様にもしロシアやウクライナの状況が、メディア側の何らかの利益もしくは肯定的な思惑に直接つながらないなら、彼らのレポーターは将来的に大きな悲劇につながるような人の死が絡む事件についても、あいまいな態度に付すことになろう。

つまり、ジャーナリズムは、目先の商業的価値あるいは自己満足的な利益を追い求める近視眼的傾向があるといえるだろう。彼らは疑う余地のない証拠を突きつけられて認めざるを得なくなる状況でもないかぎり、客観的事実による冷徹な現実を公けにすることを実は求めていないのかもしれない。古人が伝えたように「歴史は作られる」わけだが、付け加えるなら「常に意図的に」だ。
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テクニカル・コンサルテーション・サービス 代表
東  敬
          「バズるメディア
TCS News 2025年1月

         
    

                                                                       
                                        
                                                                  


    



































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